2009年6月30日火曜日

本「北方 三国志3」



劉備は呂布に漢王朝のもとで同盟し曹操と闘おうと誘う。けれど、呂布は
「馬がいて、檄がある。鎧を着て、敵と打ち合う。それが戦のすべてだ、と俺は思っている。そこで、俺は生きている。だから、戦をするのだ、劉備殿。・・・・。国は民。その考えが、すべてのものに貫かれていれば、俺はそれでいい。」
「軍人は、兵を精強にし、その場の戦いをどう闘うかだけを、考えていればいい。」
といって劉備の誘いを断り、曹操との決戦に臨む。
武人のなかの武人、呂布。決戦で唯一の友、赤兎馬が傷つき、別れを告げる。そして、最後は40騎ほどで曹操軍に突撃し戦死。
英雄の中の英雄、呂布の最後。

一方、公孫さんを袁紹は滅ぼし、北部4州を完全に掌握。いよいよ華北の統一に向け、曹操と袁紹の戦いへと話は進んでいきそうです。

昔から、劉備がイマイチ好きではなく、「三国志=孔明」だったのですが、何年か前に読んだ「蒼天航路」で曹操も面白いと思うようになり、今度の北方三国志で呂布というキャラも興味を持ちました。4巻以降も楽しめそうです。

2009年6月21日日曜日

本「北方 三国志2」

孫堅が死んでからの話。

袁紹と袁術が巨大勢力を維持するなか、曹操が青洲黄巾党100万を3万の軍勢で制圧し、信仰の自由の代わりに青洲兵5万を配下に加えたり、孫堅の息子孫策が袁術の猜疑の目の中、挙兵に成功し、着々と揚州を支配下に置き始める。一方、劉備は徐州を譲られるが、計算の上、呂布に乗っ取られた形にする。曹操と孫策がようやく翼を得て力を存分に発揮し始めたところでしょうか。

途中、劉備が、漢王室が400年ではなくずっと続いていくことが国としてのまとまりを生む、万世一系の天皇のような存在としての皇帝という考えを披露するのですが、こうした考えが本当にあったのかは疑問です。始皇帝のあとを漢王朝が引き継いだわけではなく、戦いの勝者として劉邦が前漢という王朝を立てたのだし。400年も続くと、無限に続くのがいいことだという考えがあっても不思議ではないので、完全否定はできないのですが、すこし違和感を持ちました。もっとも、劉備は自分が漢王室の流れを汲むことに正統性を置いているので、彼がそう主張する理由はありますが。

東のエデン

「東のエデン」というアニメ、監督が神山氏ということで見てみました。
TV最終回を見終わっての感想は、「また集団知!」というのと、100億つかって日本を改造するアイデアとして目新しいものはない、ということ。でも、アニメとして面白く見られる作品ではあるので、今年から来年にかけても映画でどこまで話を広げられるのか、また深くできるのか、興味深いところです。

最終回で主人公滝沢は2万人のニートの直列化(集団知)を使って60発のミサイル攻撃から日本を守ることに成功する。そして最後に、「この国には頭のいひとは多いけれど、損な役回りをするやつはいない」と語ってJuizに王様になれるよう手配を頼む。「人は易きに流れる」と語った攻殻の2nd GiGのグゼを思い出すのですが、では滝沢はグゼを超えられるのか、それともグゼのようにネットに逃げるしかないのか。

映画が楽しみです。
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/19/008/index.html

2009年6月20日土曜日

本「北方 三国志1」


久しぶりに三国志を読んでみました。中学以来なので二十数年ぶり。
1巻だけしか読んでいないの、まだ諸葛孔明も出てこないし、中国が3国に分裂しているわけではなく、曹操、劉備、孫堅、董卓、呂布などが登場し、徐々に大きくなったり、または孫堅のように流れ矢で突然死んだり、

劉備のもとに関羽、張飛が集まり、義兄弟の誓いをする場面は美しいです。人は、権力、名声、金ではなく志のある人のもとに集まり、その人に人生をかける。そういう時代が昔はあったのだなと。また、乱世というのは、そうした人が現れ、時代を動かすのかもしれません。

呂布は一言でいうと悲しい野獣。圧倒的に強いし、その意味ではカッコいいのですが。それと比べると、曹操の記述はあまりよくない。北方さんが誰に思い入れをして書いているのか、なんとなく分かる気がしました。

2巻以降を読んでいくと、この印象は変わるかもしれませんが。

2009年6月18日木曜日

本「1番人気鉄板の条件・消しの条件」


競馬の基礎知識を得るために読んでみました。競馬の研究をしているといっても、レース、馬、騎手、調教師などの詳細は一切みずに、ただ得票率、得票数、着順のみを対象として、物理、数理として面白いものを探すことをやってきたのですが、その一方で競馬ファンはどうやって馬の強さを判断し、それをオッズという数値に込めるのか、にも興味があったので。

この本は、そうしたオッズの生成メカニズムではなく、一番人気となった馬が実力を発揮できる条件を明らかにし、その上で3連単(複)の買い方を指摘しています。データ数がすくないので、どこまでそれが正しいのか微妙なところもあるのですが、いい勉強にはなりました。参考にはなります。

2009年6月15日月曜日

本「経済物理学の発見」

高安先生の経済物理の入門書。彼の講演は、平易かつ明快なのですが、そのよさが本書でも生かされています。

為替の変動は95%が正規分布で残りの5%の大変動の部分で為替変動のほとんどの部分が記述できることをグラフで示したり。また、金融工学では、その小さな95%の部分で派生商品のプライシングを行うこと。そのほか、新たなバスケット通貨の方法、税制の提言、経済物理の研究手法の解説など。

私もここ5年ほど、連鎖倒産とか競馬とか、経済物理っぽいことを研究しているのですが、経済物理って面白いのでしょうか。なんか微妙なものを感じてしまします。ようするに物理学としての夢、哲学に欠けているような。経済を理解するのは経済学であるべきで、物理と名乗るなら物理になんらかの新たな知見をもたらすものであってほしい。フラクタルの概念は経済物理の成果だとするなら、それは新しいし、大きな貢献ではあるのですが、それも50年近く前のことだし。

以上、自戒の念もこめた感想です。