前畑滋子さんの活躍する小説。楽園を先に読んだのですが、前半、ある少年が持っていた超能力に関する部分はひたすら恐かった。直接的に恐ろしい記述というのは皆無なのに、なぜか気味が悪く、その意味で「この小説はすばらしい」と期待したのです。が、超能力の解明がすすむと、普通のミステリーになってしまい、イマイチ。すごい傑作なのではと期待したのに残念です。
しかし、読む人を引き込む宮部氏の筆力はすごいと思い、前畑滋子が登場した模倣犯を読んでみることに。文庫本で5冊。暗い事件を扱った、その意味では救いもなにもない内容。けれど、宮部さんの書く世界に引き込まれ、一気に読み終えることができる。その点でダン・ブラウンの最新作とは実力が違う。被害者の再生の物語をなぜこんなに書き込めるのか。義男さんにしろ塚田少年にしろ、彼らの記述の説得力だけでも大したものです。
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