2010年1月30日土曜日

Endeavor MR 4000



新型のデスクトップパソコンを導入しました。エプソンのMR4000というコアi5にも対応した新型のものです。が、今回はグラフィックカードを装着したので、私の買ったのはコアi7のもの。
スペックは
CPU:Core i7-860(2.8GHz)
Graphic Card : NVIDIA GeForce GT220 1GB
Memory:4GB
Optical Drive: Blue-ray Combo Drive
あと、ロジクールのワイヤレスデスクトップMX5500やオフィス、3年保証をつけて17万強でした。

数値計算をガンガンするわけでもなく、ゲームをやるわけでもなく、またBlue-Ray Diskを見るわけでもないので、はっきり言えば無駄なスペックです。が、Windows 7は快適に動き、FFXIのベンチマークスコアもHighレゾで8000を越えています。

あと、Linuxに関してはVine Linux5.0, Ubuntu Linux 9.04だとネットワークカードを認識しなかったのですが、Ubuntu 9.10だと自動認識しました。このブログもUbuntuから書いていますが、快適です。あとは、BlueToothのワイヤレスデスクトップMX5500が使えるかどうか。

追記:MX5500も問題なく使えることがわかりました。インストール時点から認識。ただし、Xの起動で問題があるみたいで、起動時に真っ黒な画面(真ん中にUbuntuのロゴ?)で停止します。仕方がないので、リカバリーモードで起動し、通常起動に切り替え、コンソールからstartxして使っていますが、それ以外に問題はありません。どうも自動アップデート以降に、この問題が発生したようなので、そのうち治るのでしょう。

2010年1月29日金曜日

AVATAR



AVATARを見てきたのですが、感想は「ダンスウィズウルヴズ」と「ナウシカ」とTDLのアトラクションの「スターツアーズ」を混ぜるとこうなるだろう、の一点につきます。たしかに、こういう映画でないと、つまり3Dを駆使したテレビ画面では味わえない臨場感とかがないと、映画館まで足を運ぶ気にはなれない。なので、興行成績が歴代1位というのも理解できます。けれど、単にそれだけのこと。なにかゲームの画面を見ているような、けれど、テーマそのものは感動的でもなく昔どこかで見たような陳腐な作品でした。

あと、3時間3Dの世界に没入したせいか、家に帰ってからは疲れきってなにもできませんでした。卒論の計算(競馬予想)をすこしでもやろうと思っていたのですが、まだ締切まで時間もあるしいいでしょう。

しかし、なぜこの作品はさわがれているのでしょうね。「3Dを見たいだけ」で説明がつくのか?

2010年1月27日水曜日

ゴールデンスランバー



「痴漢は死ね」

主人公の父親のモットーらしいです。どうしても人を殺さないといけない状況になることはあるかもしれない。なので殺人は許す。けれど、どうしても痴漢しないといけない状況になることはない。だから「痴漢は死ね」。たしかに説得力がある言葉です。

首相暗殺の容疑者にされた青柳の逃亡を描いた小説です。プリズンブレイクのマイケルの兄のリンカーン・バロウズと同じ立場で、敵は巨大組織でというのも同じ。けれども、青柳にはマイケルみたいな兄思いのスーパーマンはいない。数名の友人、その友人、同僚そして両親たちなどの数少ない人々が陰で支えてくれるだけ。けれど、意表をつく展開が張り巡らされた伏線とともに展開する点はプリズンブレイクと互角。とにかく、一気に読ませてくれる傑作です。

「俺に残っている武器は、人を信頼することくらいなんだ」
「そんだけ騙されて、まだ信じるんですか?」

今月末から映画公開もあるみたいなので、堺雅人さん演じる青柳の逃亡劇を見てこようかとも思うのですが、多分DVDを待つでしょう。

2010年1月25日月曜日

新聞を解約すべきか否か?

日経新聞を十数年購読していて、他紙のように左右どちらかにぶれていない点を評価していたのですが、最近目を通す時間が激減しています。朝は、朝刊を読む前に大学に出かけるし、帰ってきても、なかなか時間をとることができない。でも、日々、確実に朝刊は届くわけで、そして確実にゴミとなる。一方、ネットを使えばニュースは大体分かるし、詳しいことが知りたいなら本を読めばいい。

今日、あるネット記事を見ていて、3月からネット版の日経新聞が始まることを知りました。現在のNIKKEI NETとどこが違うのか、よくわかりませんが月4000円で記事がいつでも読めるのなら、ゴミ問題もなくなるし、新聞自体は解約しようかと思案中です。

一方、本のほうも今年から一気に状況が変わりそうで、面白い。AmazonのKindleなどの電子書籍という媒体に、本を自由に出版でき、かつその報酬(印税)が35%もあるならば、現在の10%で大手出版社から本を出す意味は、かなりあやしくなってきます。もちろん、「岩波」から出すのと、Amazonでの自費出版では、世間での評価は全く違うのですが。いい作品をたくさん売る電子出版に特化した出版社は面白そうです。池田氏のいう「自費出版の時代」の幕開けなのでしょう。

追記:大学の先生なら、講義で配布するテキストを全てネットの自費出版にすれば、お小遣い稼ぎにもなるし、GDPのアップにもなるし、いいですね。2000円の教科書を学生に買わせてで印税200円をもらうのと、1000円の自費出版で350円貰うのだと、学生は1000円安く済むし、先生も150円アップする。すくなくとも、コピーの配布の手間からは開放されるのはありがたいです。もちろん、学生が払わなくなった2000円は、既存の出版社から消え、1000円のうち650円はアマゾンがとるのですが。(ということは、2000円が1000円になるので、数が倍はけないとGDPは減る?)「自費出版の時代」とは、再販制度で守られてきた、出版業界の淘汰の時代でもあります。

2010年1月24日日曜日

Te Tera Pinot Noir 2008



マーティンボロー・ヴィンヤードというワイナリーのテ・テラ ピノ・ノワール 2008を飲んでみました。以前、Montana Terraces "T" Pinot Noirで、スクリューキャップのリシュプールと呼ばれる、廉価だけれどその価格帯ではベストのピノノアールのワインがあるらしい、と書いたので、その実力を試したかったからです。

価格は2008年ので、2709円。ピノの値段にしては安いです。ワインの感想は、空けた瞬間は香りを感じられなかったですが、しばらくすると香りが広がり、色は明るいルビー色。薄っぺらな味かと危惧しましたが、安いピノのワインにある酸味があってしょぼい感じではなく、おいしいワインです。前回の"T"と同じレベルだと感じたでのコスパはこちらのほうが上ですね。

2010年1月21日木曜日

競馬ファンの効用関数

競馬研究に競馬ファンの効用関数に関する2つの論文、M.Weitzman(1965)M.M.Ali(1977)の要約を掲載しました。

競馬に限らずギャンブルは1単位賭けたときのリターン(払い戻し金)の期待値が1単位以下になります。競馬なら75%から80%の期待値、宝くじなら50%程度で、もしリターンの期待値の大小だけで人が行動するならばギャンブルをするわけはない。買わなければ、リターンは100%、買えば期待値は50%や80%に減少するのだから。

ということは、ギャンブラーや宝くじを買う人は頭がおかしい、のか、それとも期待値の大小では決断しない、のどちらかになります。「人は頭がおかしい」というと問題はなくなるのですが、議論が進まなくなるので、経済学では「期待値の大小で決断」の部分を修正します。どうするのかというと「効用の期待値の大小で決断する」という風に。

もちろん、リターンと効用の関係を考える場合、リターンと効用が単純に比例するなら、リターンの期待値と効用の期待値も比例し結論は変わりません。でも、それだと人がギャンブルする理由を説明できません。そこで、リターン(お金)の効用は、増加関数には違いないけど、単純な比例関係ではなく、曲がっていると考える。



Weitzman(1965) やAli(1977)は、競馬の馬券(人気馬のようにローリスク・ローリターンなものから、あたれば万馬券になるハイリスク・ハイリターンのものまで)のオッズ(Aliは人気に対する平均オッズ)とそのオッズ(人気)の馬の勝率の関係から、リターンと効用関数の関係を求めたのです。結果は、次の図です。x座標がリターンでy座標が効用関数を表し、原点と(1,1)を通るように変形しています。(x=1に対応するのがオッズが100。)図には、y=xのグラフも表示してあり、二人の結果はともにそれより下側に膨らんだ(いわゆる下に凸)カーブになっていることがわかります。

こうした下に凸な効用関数を持つ場合、リスク嗜好的というそうです。一方、人が保険に入るという行動を正当化するには、上に凸な効用関数を用い、リスク回避的といいます。

2010年1月18日月曜日

日本はいつ破綻するのか?

何日か前に読んだ池田氏の「国債についての迷信」という記事ですが、ある研究者によると日本の財政が今後100年の間に破綻する確率は99.91%なのだとか。99.91%の残り0.09%がどこから来たのか興味がありますが、それより庶民レベルではこれからどう対処するのがいいのでしょうね。

破綻してハイパーインフレが起き円が紙切れになるのか、2,30%のある意味マイルドなインフレが10年、20年と続くのか。また、ほぼ確実に破綻するとして、それがいつごろと考えるのが妥当なのか?いろいろ疑問はあるのですが、自分がリタイアした後に、破綻されるのが最悪なわけで。消費税を25%ぐらいに上げて、なんとか破綻は回避してもらいたいものですが、JALの状況を見ていると、一度破綻させないと、利害関係(年金など。JALの場合はキックバックも複雑怪奇で80%を超えるらしい)がややこしくてどうにもならないのかも知れません。

円を外貨に換えておくのがいいのか?ドル、ユーロは怖いから、資源国通貨、例えばオーストラリアドルがいいのか。それとも、BRICS諸国の投資信託を買っておくのがいのか。政府は預金・金融資産の封鎖までやるから、そういう対策は無意味なのか。多分、政府はそこまで果断には動けないから、外貨で持っておくのが一番でしょうかね。(「政府が果断」なら、消費税を上げて、破綻回避に全力で動くはずなので。)


追記:リンク先の大和証券のオーストラリアドル債は売り切れました。みなさん、同じことを考えているようですね。資源国通貨にマネーが流れているという日経の記事も本当のようです。

2010年1月17日日曜日

水滴系のカオス



蛇口からしたたり落ちるしずくに「物理」はあるのか。古来、水が規則的に滴り落ちることを使って水時計を作っていたわけで、どうも面白い物理なんてあるようには思えない対象です。けれど、こうした単純な振る舞いは水の流れる量が小さいときの話。それを徐々に大きくしていくと、単純な規則的な振る舞いが複雑な振る舞いに変化します。

着目するのは、ある雫が滴り落ちてから次の雫が滴り落ちるまでの時間。周期的ならこの時間は一定なのですが、流量を増やしていくと、短い間隔と長い間隔が交互に現れる状態に変化する。さらに、流量を増やすと、時間間隔の変化が複雑になる。では、ある間隔が観測されたとき、次の間隔を予測できるのか。周期的な場合、交互に周期が変わる場合なら100%の確率で予測できるのですが、そこから流量を増やして到達した状態では、そう単純ではなくなる。では、どの程度まで予測でき、それをどう計算すればよいのか?さらに、一般に観測によって物理量はある桁数で丸められるのですが、それはなにを引き起こすのか?

こうした問題を「情報量」「エントロピー」といった言葉で解明している本です。ちょっと説明が難しく、私にとっては消化不良な部分も多々あるのですが、楽しめる本でした。

業務連絡:K田君、この本のアイデアをベースに天気予報のARの情報論的な意味づけをやろうと思ってましたが、今年は無理そうです。ARの誤差、検定、プログラム・データの整理に集中してください。

2010年1月15日金曜日

ゲヴェルツトラミネール



最近、テーブルワインで飲む白にチリのコノスルのGewürztraminerやそのリゼルヴァをよく開けます。普通のほうで約800円、リゼルヴァでも1000円ちょいなのですが、フルーティーな香りでおいしいワイン。800円のほうはほのかな甘味があり、リゼルヴァほうはキリッとししまった少し辛口。1000円以下の白ワインは、当たり外れが大きいので、あまり買わないのですが、非常にコストパフォーマンスのよいものです。

これらのワインで使われているゲヴェルツトラミネールという品種のことをよく知らなかったので、Wikipediaで調べてみると、「Gewürzとは、ドイツ語でスパイスつまり香辛料の意味で、ライチの香り、グレープフルーツまたは藤色のバラの香りとも表現される非常に強いアロマに由来する。一方、Traminerは、南チロル地方の村Traminに由来」だそうで、アルザス地方が主要な生産地であるとも。アルザスと言えばリースリングぐらいしか知らなかったので、よい勉強になりました。

2010年1月12日火曜日

競馬予想のロジットモデル


W.T.Ziembaの論文集のR.G.Chapmanの結果に驚きました。

Still Searching for Positive Returns at the Track:
Empirical Results from 2,000 Hong Kong Races, Eandall G.Chapmann,1994

という論文です。説明変数が20個あるロジットモデルで競馬予想をしましょうというもので、詳しい内容は競馬研究にまとめる予定ですが、何に驚いたのかというとそのリターンです。香港競馬では、当時17.5%の寺銭だったらしいのですが、それを差し引いても最大29.3%のリターンがある。ただし、リターンのばらつきは32.6%なので、下手をすると損することもありえるのですが、この結果は驚きです。2000レースのうちの1988レース(除かれているのは、ロジットモデルで買いを推奨した馬の勝率が5%を切るもの)で出されたものなので、すごく稀な場合にしか使えないものではないことも重要。(左の表は、確率の下限を変えた場合の、リターンとばらつき、レース数をまとめたものです。)

このモデルが使えるなら、ケリー基準で最適な買い方を実行すれば、すばらしいリターンを出すのでしょうね。もっとも、そんな甘い話があるとも思えないのですが。

追記;論文を検索すると、グーグルでの論文の全文が読めることが分かりました。ここまでやっても著作権は大丈夫なのでしょうね。さすがアメリカ、なのか。最初の1ページだけ読めるところは多いのですが、全文とは。

2010年1月11日月曜日

競馬研究を分離

昨日紹介のEfficiency of Racetrack Betting Marketの要約や関連する文献などの情報は、別のブログ:競馬研究にまとめることにしました。あまりこなれた訳にはしていないので、読みにくいかとは思いますが、参考になれば。

暇をみつけて競馬論文の紹介を行う予定です。三日坊主になるかもしれません。

ちなみに、今日アップしたのは、1949年のGriffithの論文の紹介です。データ数もすくないし、結構微妙ですが、Favorite-Longshotバイアスを最初に報告した論文です。人は、大きな確率は過小評価し、小さな確率は過大評価する傾向が別の心理学の実験で得られていて、それを競馬で検証したという内容です。

2010年1月10日日曜日

Efficiency of Racetrack Betting Market



競馬研究のバイブルのような本というか論文集。初版は1994年で、第2版(2008年)の序文には、初版が絶版したころ、競馬ファンドのようなシンジケートがこの本のアイデアをその研究のベースとし、数億円もうけたとか、総額で1兆円になったとか、本当か嘘かわからないことが書いてあります。そのため、カルトアイテムとなり、品薄、内容、そして夢がオークションでの値段を数千ドルまでに引き上げたのだとか。ちなみに、現在の第2版はアマゾンで買うと1万円ぐらいですが、第2版が出るまではアマゾンの古書が3,4万はしていたので、こちらは全くの嘘ではないのかも。

内容ですが、索引まで含めると648ページなので、すべてに目を通すのは無理です。が、全部で7セクションあるうちの各セクションの最初にまとめがあり、それを読むと過去の競馬研究の流れが分かって参考になります。もちろん、編集者のW.T.Ziembaの研究が中心なのでしょうが。

経済学、心理学、ファイナンス、統計学、数学、OR、といろいろな分野の研究の紹介があるのですが、基本は「競馬市場が効率的なのかどうか」を明らかにし、そうでないならばその非効率性を使って「儲けられるか」という内容です。もっとも古い論文はR.M.Griffithの1949年のもので、オッズは競馬ファンが考える馬の主観的な勝率を表し、実際の勝率(同じオッズの馬のうちの勝ち馬の比率)とを比較し、人気馬(Favorite)のオッズは実際の勝率から想定されるものより高く過小評価されているのに対し、不人気馬のオッズ(Longshot)は勝率からの想定以上で買われすぎ、というFavorite-Longshotバイアスを報告しています。以降の研究は、このバイアスの検証やその原因の解明が中心になりました。

原因は競馬ファンはリスク選好だから(それ以外にも、確率の正確な大きさを認識できないのだ、とか、評価がバラツクと説明できるとか、説はいろいろ)らしいです。でも、その競馬ファンが生命保険にも入っている(リスク回避)のはなぜ、と経済学者は疑問に思うそうです。そのため、効用関数に凸凹のものを用いるといいとか、効用関数をデータから導きましょう、とか。

興味深いのは、
(1)ファンダメンタルの手法で馬の勝率を評価する試み。
(2)走破タイムの分布をいろいろ仮定して、1,2,3着の確率を求める試み
(3)馬単。3連単は単勝よりも情報の精度が高い

などなど。あと、物理で競馬を扱った論文はありませんでした。

2010年1月8日金曜日

サザンテラスのイルミネーション



1月4日「ひつじや」での新年会の帰り。Y君撮影。

2010年1月7日木曜日

競馬論文1の掲載決定



競馬に関する最初の論文Exact Scale Invariance in Mixing of Binary Candidates in Voting Modelの学術雑誌への掲載がやっと決まりました。長かった。この論文がパスするかどうかで、「競馬研究が物理になるかどうか」の瀬戸際だったので、うれしいです。この論文のアーカイブの更新履歴は次のようになっています。

[v1] Sun, 1 Jun 2008 23:26:20 GMT (61kb)
[v2] Fri, 19 Sep 2008 02:25:18 GMT (227kb)
[v3] Thu, 20 Nov 2008 01:42:10 GMT (163kb)
[v4] Tue, 2 Dec 2008 01:43:18 GMT (163kb)
[v5] Thu, 26 Feb 2009 00:14:48 GMT (164kb)

流れとしては2008年の6月にv1が完成し、勝ち馬と負け馬の混合が示すスケール不変性(図に示したもの、赤が勝ち馬、青が負け馬で右端からの累積比率がお互いのベキに従う。図はデータから作成)と投票モデルの二重スケーリング極限が示す厳密なスケール不変性という数理の結果が面白かったのでPRL(Physical Review Letter)に投稿したら、「物理の人間にウケるとは思えない」という理由で専門家のレビューアーに行く前の編集部の段階でリジェクト。そこで、JPhysA(Journal of Physics A)に論文形式で投稿すると、二人のレビューアーの意見が割れて(一人は「なんじゃこりゃ」、一人は「まあいいんじゃない」)、v2、v3を経て第3のレビューアーが登場し、彼の意見(「二人の意見はどちらも正しい」)で完全に書き直して出せでリジェクト。v4を再投稿すると、第3のレビューアーがまだ足りないと言ってv5を用意。けれど、結果はリジェクト。さすがに外人とやりあうのが嫌になってきたので、今度は日本人がレビューするだろうと踏んでJPSJ(日本の物理学会誌Journal of the Physical Society of Japan)に投稿すると、(おそらく)外人さんがレビューしてくれて、2度ほど修正して、やっと2010年の1月6日に掲載許可の通知をいただくことが出来ました。

実に1年半以上。計6回の修正で最初は10ページほどのレターの論文が最後は20ページとなっています。まあ、めでたしめでたし。疲れましたが。

2010年1月5日火曜日

娘と話す 宇宙 ってなに?



娘に宇宙を語るにはどうするのかの参考にすべく読んでみました。

この本が想定するのは12歳の娘。内容は、宇宙には上空100キロ以上から静止衛星の3万6千キロまでのスペース(宇宙空間)と、宇宙の果てまでの遠い宇宙の二種類あるところから始まり、銀河、ビッグバン、銀河の進化、宇宙開発と展開していきます。宇宙開発では、限られた予算が国際宇宙ステーションにまわされてしまい、小規模な科学衛星で培ってきた日本の宇宙科学の良さが失われる危険性、2008年の宇宙基本法で宇宙開発を安全保障のためとするようになった、など。

感想としては、ビッグバンならサイモン・シンの「ビッグバン宇宙論」のほうが詳しくて楽しめるし、また、挿絵とかもあまりない(あっても白黒)ので、ビジュアル的にもイマイチ。国際宇宙ステーションがサッカー場ほどの大きさで、3人でメンテしながら運用しているとか、太陽系外惑星の探索には、惑星によって恒星の速度が変化することで行い、その精度は毎秒10メートル。現在までは、恒星の近くに非常に重い惑星のみが発見されているだけで、地球程度の重さの惑星は、現在の精度では無理と、ところどころ参考になることがありました。

娘に話すのに、いきなり「ひも理論と双対性」とか「ブラックホールの蒸発」というわけにもいかないので、まっとうな解説本だとは思います。9年後に12才にある娘に感想をきけるよう努力します。

2010年1月4日月曜日

ブラックホール戦争


ブラックホールが蒸発するとき、それまでブラックホールに落ち込んだ情報は失われるのか、そうでないのか?前者はホーキングが、後者は著者のサスキンドとゲージ理論の繰り込み可能性を示したトフーフトが主張し、彼らを中心とした1983年から始まる20年の論争の様子を解説したものです。

物理学の法則は、因果律が基本中の基本であり、どんなに複雑な現象でも、それを分解したひとつひとつの過程は因果律に従っていて、複雑な現象ももちろん因果律に従っている。ということは、現実には無理でも時間を遡ることは物理法則のレベルでは可能であるし、エントロピー(情報)の保存則と呼ばれる。けれど、ホーキングは
①ブラックホールが温度をもっていて、エネルギーを放出し蒸発する
②ブラックホールに入った物体は出てくることはできず、中心で粉々に粉砕される
ことから情報はブラックホールで失われ、ブラックホールにより因果律は破壊されることを主張した。

一方、著者は蒸発には情報が含まれていること、一方、ブラックホールに入った物体は中心で粉々になること、という二つの「こと」は量子論の量子は「波」か「粒子」かと同じ相補性をもつという大胆な主張「ブラックホールの相補性」を展開する。一見、ブラックホールの外と内での相補性は、情報がコピーされ2倍に増え、量子論と矛盾するように見えるが、ブラックホールに入った物体は外に出てこれないし、蒸発から得た情報をブラックホールの内側に送ろうとしても、先に突入した物体には絶対追いつかないことから量子論とは矛盾しない。

さらに、ブラックホールのエントロピーがブラックホールの体積ではなく面積に等しいことから、ホログラフィー原理という着想に辿り着く。また、ブラックホールはひも理論のひもがとぐろを巻いた状態で、その状態の数の対数がエントロピーであること、それがブチブチと千切れて失われるのがブラックホールの蒸発であること、などのクレイジーな主張を展開していきます。

物理はどれだけクレイジーになれるかが勝負の世界。500ページを超えるので読むのが大変ですが、楽しめる本です。来年の卒業研究は「ひも理論」のお勉強でもやろうかと考えています。

2010年1月2日土曜日

再開発


あけましておめでとうござます。元旦なので、近所の神社にお参りしたのですが、相模大野の駅の西側は再開発中で、目下写真のような状態です。住んでいる部屋からも、焼き肉の「八起」あたりまで見通せるような状態。

今日、いつも見ているブログで、昨年のベストレストランランブロワジーという名前を見つけました。パリのヴォージュ広場に面した、超高級レストランで、前を通ったことはあっても入ったことはありません。なぜ、このお店に反応したかというと、大学院生のころ、4年ほどお茶の水の「アテネ・フランセ」というフランス語学校に通っていたのですが、そこで教わっていたペレ先生が絶賛していたためです。手書きのメニューのコピーを配って、調べてこい、とのことだったので、相当苦労した記憶があります。当時は、フレンチなんて食ったこともなかったので、訳しても意味不明な単語も多々あったし。




写真は1996年に半年ほど住んでいたM. Le Prince 通りのもの。2007年にパリによったついでに様子を見てきたのですが、エロ本屋さんがつぶれて日本食レストラン(ランチセットに焼き鳥+ご飯を出す)になっていたこと、ブラッスリーがスタバになっていたほかは、何も変わっていませんでした。

フランスという国は、好きですが、遠い国です。