競馬研究に競馬ファンの効用関数に関する2つの論文、M.Weitzman(1965)とM.M.Ali(1977)の要約を掲載しました。
競馬に限らずギャンブルは1単位賭けたときのリターン(払い戻し金)の期待値が1単位以下になります。競馬なら75%から80%の期待値、宝くじなら50%程度で、もしリターンの期待値の大小だけで人が行動するならばギャンブルをするわけはない。買わなければ、リターンは100%、買えば期待値は50%や80%に減少するのだから。
ということは、ギャンブラーや宝くじを買う人は頭がおかしい、のか、それとも期待値の大小では決断しない、のどちらかになります。「人は頭がおかしい」というと問題はなくなるのですが、議論が進まなくなるので、経済学では「期待値の大小で決断」の部分を修正します。どうするのかというと「効用の期待値の大小で決断する」という風に。
もちろん、リターンと効用の関係を考える場合、リターンと効用が単純に比例するなら、リターンの期待値と効用の期待値も比例し結論は変わりません。でも、それだと人がギャンブルする理由を説明できません。そこで、リターン(お金)の効用は、増加関数には違いないけど、単純な比例関係ではなく、曲がっていると考える。
Weitzman(1965) やAli(1977)は、競馬の馬券(人気馬のようにローリスク・ローリターンなものから、あたれば万馬券になるハイリスク・ハイリターンのものまで)のオッズ(Aliは人気に対する平均オッズ)とそのオッズ(人気)の馬の勝率の関係から、リターンと効用関数の関係を求めたのです。結果は、次の図です。x座標がリターンでy座標が効用関数を表し、原点と(1,1)を通るように変形しています。(x=1に対応するのがオッズが100。)図には、y=xのグラフも表示してあり、二人の結果はともにそれより下側に膨らんだ(いわゆる下に凸)カーブになっていることがわかります。
こうした下に凸な効用関数を持つ場合、リスク嗜好的というそうです。一方、人が保険に入るという行動を正当化するには、上に凸な効用関数を用い、リスク回避的といいます。
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