2010年1月17日日曜日

水滴系のカオス



蛇口からしたたり落ちるしずくに「物理」はあるのか。古来、水が規則的に滴り落ちることを使って水時計を作っていたわけで、どうも面白い物理なんてあるようには思えない対象です。けれど、こうした単純な振る舞いは水の流れる量が小さいときの話。それを徐々に大きくしていくと、単純な規則的な振る舞いが複雑な振る舞いに変化します。

着目するのは、ある雫が滴り落ちてから次の雫が滴り落ちるまでの時間。周期的ならこの時間は一定なのですが、流量を増やしていくと、短い間隔と長い間隔が交互に現れる状態に変化する。さらに、流量を増やすと、時間間隔の変化が複雑になる。では、ある間隔が観測されたとき、次の間隔を予測できるのか。周期的な場合、交互に周期が変わる場合なら100%の確率で予測できるのですが、そこから流量を増やして到達した状態では、そう単純ではなくなる。では、どの程度まで予測でき、それをどう計算すればよいのか?さらに、一般に観測によって物理量はある桁数で丸められるのですが、それはなにを引き起こすのか?

こうした問題を「情報量」「エントロピー」といった言葉で解明している本です。ちょっと説明が難しく、私にとっては消化不良な部分も多々あるのですが、楽しめる本でした。

業務連絡:K田君、この本のアイデアをベースに天気予報のARの情報論的な意味づけをやろうと思ってましたが、今年は無理そうです。ARの誤差、検定、プログラム・データの整理に集中してください。

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