2010年3月13日土曜日

ロスト・シンボル



舞台はワシントンD.C.。 「24」のシーズン7の舞台でもあり、「東のエデン」の物語の始まりの地でもある。そこで、ロバート・ラングドンが謎を解きながら、友人を助け、古の知恵の謎を明かにするというもの。24ではなく12。たった一晩の話なのですが、読むのは結構大変でした。

ワシントンにはあまり興味もなく、ホワイトハウスがあるだけかと思っていたのですが、そうではないらしい。内容については、フリーメイソンや古の知識、アメリカの歴史、建築、そして宗教のウンチクに圧倒され楽しめる。

でも、精神エネルギーとか、分子が精神に反応するだとか、そういうことを書かれるとひくしかない。現時点でTOE(Theory of Everything)と考えられているストリング理論も昔の本には書いてあるそうで、10次元時空のうち我々が住む3+1次元時空を除いた残りの6次元のコンパクト化についての解説もあるとか。あと、最後の場面でのピーター・ソロモンの反応、立ち直り方がどうも違和感がある。ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが。

ワシントンのガイドブックとフリーメイソンの解説にはいいと思います。映画化も決まっているそうなので、見にいくかもしれません。ワシントンの街並みや建築群を楽しめるだろうし。

2010年3月12日金曜日

天気予報の精度




降水確率に対する降雨率のグラフを見ると、一見7日後のほうが明日よりも合っているように見えます。そこで、AR(Accuracy Ratio)という指標を用いて、気象庁発表の降水確率の精度を計算してみました。

図がその結果です。x軸は予報の時刻から、その予報が対象とする日時のスタートまでの時間。朝5時の予報の場合、当日朝6時から24時までの18時間の予報を対象とする場合は1時間。翌日0時から24時の予報の場合は、19時間。y軸はARの値を示します。

予想通り、予報が対象とする日時に近づけば近づくほどARは上昇する。逆に言えば、週間天気予報の精度は、今日よりも明日、明日よりも明後日のほうが精度は落ちる。明日の予報に関して言えば、午前5時と11時はARが約81%で午後5時だと約83.5%で、その差2.5%はエラーバーの大きさ0.7%の2倍以上なので、午後5時のほうが精度が高い。ただし、3日目以降に関しては、気象庁の人が真剣にやっているように見えるのは午前11時のもので、同日の午後5時や翌日の朝5時の予報の精度はあまり改善されていない。

つまり、明後日までの天気予報は真剣にやるけれど、それ以降の予報は午前11時のみ頑張るという感じです。ちなみに、競馬のオッズのARが約67%(図のピンクの点線)なので、明々後日の天気予報との同程度の精度とも言えます。ARの大小関係だけで、予測の精度を論じるのは問題があるのですが、感じとしては。

2010年3月11日木曜日

降水確率と実際に雨が降った比率(降雨率)の関係




降水確率と実際に雨が降った比率の関係で、イマイチ理解不能なところがありました。それは降水確率と実際に雨が降った比率の関係です。降水確率とは、1mm以上の雨が降る確率のこと。P%なら、100日に対してP日は1ミリ以上の雨が降り、X日なら、PX日降ることが期待される。

ということは、P%の降水確率の日数Xに対し、雨が実際に降った日数Yの比率Y/Xを考えると、大体Pになる。YはほぼPXなので、PX/X=P。

実際に毎日11時発表される気象庁の週間天気予報のデータ(K君に感謝)を使って、Y/X(実際に雨が降った比率R)を計算し、降水確率との関係をプロットしたのが図です。翌日の予報に関しては、6時間おきの降水確率が発表されるので、降水確率はその平均値としています。通常、降水確率は10%刻みですが、6時間おきの4つの降水確率の平均をとると2.5%刻みになります。データ数は約400日分で全部で3万弱の週間予報を用いています。

1週間後から明後日までは降水確率Pと降った比率Rはほぼ一致します。どのデータも対角線P=Rの近くにある。しかし、1週間後から明後日まで、予報した日に近づくにつれてP=Rの関係の成立の度合いは落ちているように見える。

明日に関してはPよりもRのほうがほぼ一貫して大きくなっている。降水確率が15%未満の場合は、RはP以下ですが、それ以上だとRはPより大きく、30%の日の50%、40%の日の70%近くで雨が降っている。

素人考えだと、降水確率を大きめに発表して、傘を持っていくように注意を喚起した方がいいと思うのですが。なぜなのでしょう?6時間おきの降水確率の平均値を明日の降水確率と考えるのが間違っているのでしょうか?不思議です。

追記:英語では、
降水確率=chance of rain, chance of precipitation, rainfall probability
降雨率=rain rate

追記2:上記の疑問ですが、基本的なところで間違っています。ある日の6時間毎の降水確率が
p1,p2,p3,p4のとき、その日1日の降水確率は(p1+p2+p3+p4)/4ではなく、1-(1-p1)(1-p2)(1-p3)(1-p4)。なので、平均値よりも結構大きくなる。これで計算すれば、降水確率と降雨率の一致はよくなるのでしょう。

2010年3月2日火曜日

歴史は「べき乗則」で動く



未来予測は可能なのか?この本の結論も「無理」。ただ、その理由は「べき乗則」「臨界状態」としているところが、モデル誤差にあるとするオレルと異なるところ。

この本で何度も出てくる例が砂山モデルです。板に上から砂粒をひとつづつ落とし、山をゆっくりと作っていく。あるところまでは、山が徐々に高くなっていくだけなのですが、十分山が高くなり、傾斜がきつくなると、砂粒をひと粒落とすだけで、大規模ななだれがおきたり、または何もおきなかったり、小規模ななだれがおきたり、という状態になる。このとき砂山のなだれの大きさ(転がる砂粒の数)と起きる回数を調べると、大きさが2倍で2.14分の1になるというべき乗則に従う。つまり、どんな大規模ななだれであっても起きる可能性はゼロではないわけで、こうした状態のことを臨界状態という。この砂山モデルでは、砂粒を落とすだけで勝手に臨界状態になるので、自己組織化臨界現象(SOC : Self Organized Critical Phenomena)と呼ばれる。

この自己組織化臨界現象の例として、2倍の大きさの地震は頻度は4分の1というグーテンベルグ・リヒター則、壁にたたきつけた凍ったジャガイモの破片の大きさだと2倍の大きさのものは6分の1の比率になる、山火事の場合大きさが2倍になると頻度は2.48分の1、戦争の戦死者の世界人口に対する比率は、比率が2倍になると2.62分の1となる、といった具合。

そして、多数の要素が密接に関連している系では、この臨界状態にあり、そういう系ではどういう規模の変化が起こるのかは全く分からないと結論する。もちろん地震の予測も出来ないし、人間社会もどうなるかは全く分からない。明日世界大戦が勃発することもありえると。

臨界現象、普遍性、べき乗則の説明が非常にうまいので、統計力学の臨界現象の勉強には非常にいい本です。タレブの「ブラックスワン」よりは物理屋には馴染みやすい。逆に、この本は物理に興味のある人しか買わないだろうとも言えるので、あまり売れはしないでしょう。多分。

2010年3月1日月曜日

新聞を解約




以前のブログで日経新聞を解約すべきかどうかと書いたのですが、結局解約しました。電子版の日経新聞が3月に始まると思ったので、2月一杯で。しかし、3月頭ではなく3月23日から開始らしく、ここ3週間ほどは新聞なしの生活です。

電子版の日経ですが、さっそく購読の手続きをしてみました。4月一杯まではフルにアクセスできるみたいなので、その内容次第では月4000円のコースを申し込もうと思います。必要ないと判断すれば無料会員コースのまま。

果たしてどちらを選択するのでしょうか?

追記:結局、有料会員はキャンセルし、無料会員にしました。アクセスしない日はアクセスしないし、それで困ることもないし。しかし、フルアクセスの会員でも小説は読めないというのは、どうなんでしょう。5月以降は変わるのかもしれませんが。