2011年6月24日金曜日
WEHIA2011
6月23日(木)から25日(土)までの3日間、WEHIA2011という経済学、経済物理学、エージェントのシミュレーションに関連した情報工学の学際ワークショップに参加。イタリアのアンコーナというアドリア海に面した港町で行われていて、一日目が終わりました。駅前のホテルに泊まっているため、ワークショップのやっているアンコーナ大の経済学部のある町の中心部まで3,4キロあり、バスに乗っていく必要があるのですが、これが結構大変。「カブール広場」という停留所で下りる必要があるのですが、バスは一切、次の停留所の情報を教えてくれない。仕方がないので、近くに座っていたおばあさんに、「ここカブール広間ですか」とそれらしいところで聞いたら、「まだまだ。ついたら教えてあげる」と多分いっていて、実際、教えてもらい、なんとか正しい停留所での下車に成功。こう書くとスムースに事が運んでいるように見えますが、バスを間違って、まったく違うところにいったり、ワークショップの開始時間の9時半についたのはその5分前くらい。
間に合ったと思い、最初の公演が行われているホールへいくと、すでにB.Greenwaldの「Long-lived Slumps in Economies with Heterogeneous Industry Sector」が始まっている模様。手書きのトラぺでの公演は、別にいいとは思うのですが、薄すぎて式とかが全然見えないし、そもそもちゃんと解説しているようには見えない。話は全然わからなかったのですが、「日本は20年ほどスランプだ」とトークのもっともいい具体例として何度も日本が登場。農業セクターから工業セクターへの人口移動が成長の原動力で、いまはサービス産業での技術革新がそれにあたる、とかいっている感じ。
休憩後、11時からパラレルセッションが開始。私はSan MiguelがチェアセッションA1を聴講。この日、一番おもしろかったのが、E.Kampffの「The Value of Costly Information in an Agent-Based Call Auction」。8ビットの商品で、その価値が1のビットの数に対し、何ビットかの情報をあるコストで教えてもらった上で1回限りのオークションを150人のエージェントの集団でおこなう。そして、取引戦略を遺伝的アルゴリズムで進化させる。すると、まず全情報を得るエージェントとまったく情報を得ないエージェントの2種類の集団だけになる。あとは、情報のコストで全情報を得るエージェントの集団が減少し、確か25人ぐらいで落ち着く。ちまり、まったく情報を持たないエージェントの比率は6分の5.
次のJ.Vinceは「Price rigidity and Strategic uncertainty An agent-based approach」。価格が環境が変わっても(コストなど)、なかなか変化しない硬直性をもつのは、自分が変化させたときに、それでシェアを失う確率、価格競争を引き起こす確率なので、不透明な部分があり、合理的な戦略なのだ、ということを主張している感じ。
3番目は、M.San Miguelの「Update rules and interevent time distributions: Implementing human activity patterns in a model for consensus formation」。取引が行われる間隔のばらつきが非常におおきく、べき則やファットテイルであることは知られているのですが、それをVoter Modelでのスピンフリップの時間間隔で理解しようという内容。格子やネットワーク上でモデルをシミュレーションして、それでおしまい。結論は、時間間隔分布は重要だから、それをちゃんとモデル化しないとダメ。
ここからランチ休憩。中庭の一角に、ビュッフェ形式のランチ(ハム、チーズ、フライ、パン、パスタ、サラダなど)が用意さていました。参加費が350ユーロなので、こういうのがついているのでしょうが、そんなにレベルは高くない。
午後も、いろいろ聞いて、J.Stiglitzが共著に入った公演も何件かありましたがいまいちよくわからない。「容赦のない価格づけが競合他社を排除する戦略としてどうか」とかいろいろありましたが。
私は午後の最後のパラレルセッションのC2で「Information Cascade in a Sequential Voting Experiment」の話。開始時点でスピーカー3名プラス聞いている人3名(最後は7,8名)で、さびしい限り。受けたのかどうかは分かりませんが、すこし情報量が多すぎた気もします。質問で、「モデルのλは何を意味しているのか」とか、「このデータは本当に実験したものなのか、それともシミュレーションなのか」とあったので、全然分かっていないのでしょう。
このあとアペリティフを飲みながら歓談の時間(Aperoというらしい)があり、新潟大の家富先生、明治大の水野先生、東大の池田先生(正確には、入ったレストランで発見)、京大の佐藤先生のところのM1家治川さんらと夕食へ。海の幸の焼いたのと揚げたのの盛り合わせとビール、パスタを食べましたが、それほど感動はなかった。
以上で1日目はおしまい。3日目は午前中でおしまいなので、観光できそうです。マルケ州に何があるのか調べる必要あり。H氏なら、すこし北のアドリア海のビーチなのでしょうが、私は外部記憶に名所のデータを蓄積します。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿