2010年6月28日月曜日
Component Ratios of Independent and Herding Betters in a Racetrack Betting Market
競馬の2番目の論文がやっと完成。もっとも、プレプリントになっただけで、投稿した雑誌のレフェリーとのやりとり、リジェクトされた場合のさらなる修正、別の雑誌への再投稿と、これからどうなるのかは予想できません。1番目の論文も結局1年半かかってしまったし。
この論文のポイントは、得票率と予想の精度の最終的な値への収束に「べき乗則」が見られるという発見がメイン。べき乗則で収束するということは、投票で多数の人々がコンセンサスに達するには非常に長い時間かかることを意味します。これを説明するモデルとして、競馬ファン(投票者)の中で「予想の精度の上昇」に貢献する、つまり市場に「情報」を持ち込む人々と、単に人気のある馬は強いからと投票し、自分では情報を提供しない人々の投票モデルを考える。すると、得票率と予想精度のべき乗則が説明できる。べき乗則の指数から前者の比率は4分の1。ちゃんと考えて投票しているのは4人に1人となり、また勝馬の平均得票率は2割(5人に1人)なので、ちゃんと考えて投票し、勝馬をあてられているのは20人に1人ということになります。100人中20人は競馬で勝っているけれど、ちゃんと考えて賭けているのはそのうち5人(競馬の神様)で、残り15人は他人のふんどしで勝っているだけ。
もっとも、モデルのパラメータをどう解釈するのかは難しいので、この数字を額面どおりにうけとることはできないのですが。自分では真剣に考えて投票しているつもりでも、大多数の人と同じ考えて投票する場合、「情報を持ち込まない人」と考えるのか、それとも、オリジナリティーはなくても、真剣に考えているので、「情報を持ち込んでいる」と考えるのか、とか。
一昨年の北村君の卒論で競馬の投票の時系列データの解析を始めてからなので、2年近くかかった割には、満足感がすくないです。結論はまあまあ面白いと思うのですが、予想精度のべき乗則の導出がなされていない、数値計算でそれらしい結果が出ただけという点。また、投票の後半、得票率の収束がべき乗則からズレ始めるのですが、その理由がよく分からない。予想精度のほうは、ほぼ最後までべき乗則に従うのに。
ただ、これをちゃんと解決するには、もっと高頻度の投票の時系列データの解析が必要になりそうです。
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