2010年8月23日月曜日

プリオン説はほんとうか?



タイトルの通り、牛の狂牛病や羊のスクレイピー、人のヤコブ病などのプリオン病の病因は本当にプリオンタンパク質なのか、を丹念に解説した本。異常なプリオンタンパク質が病因であり、動物に存在する正常なプリオンタンパク質に接すると、異常なプリオンに変化させ、それが進行するとプリオン病になる。細菌やウイルスといった、ゲノムをもったものが病因ではなく、タンパク質がプリオン病を引き起こすのだという新しいメカニズムの発見と、プリオン病のマーカーとしての異常プリオンタンパク質の発見に対し、1997年プルシナーはノーベル賞を受賞。

本書を読むと、プルシナーの唱えるプリオンタンパク質の病因説はまだ実証されたわけではなく、むしろ微小ウイルスが病因なのだろうなと説得されます。そういう点はおいておくとしても、プリオン説、反対仮説などを詳細に説明し、実験結果から何が主張でき、なにが主張できないかを分かりやすく説明していて、非常に楽しめる本でした。

この本がいいと勧めてくれた友人は「プリオンの研究がしたい」と言ってましたが、私はやりたくないです。生物は実験が大変すぎる。プリオンタンパク質がどの程度感染力をもつかどうか調べるのに、10匹のマウスで感染をみて、10倍に希釈して、再度10匹のマウスで感染を調べ、これを感染するマウスがいなくなるまでやる。100匹使えば、10のマイナス10乗倍の希釈までは2ヶ月で実験できるわけですが、それで分かるのはもとの試料感染力だけ。私には無理です。

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