友人から、「こういう本なら売れる」と言われて渡されたので、読んでみました。西成氏の本は、新潮の「渋滞学」以来の2冊目です。内容的には「渋滞学」の内容をさらに発展させ、かつ説明も洗練されています。「渋滞学」では、自然渋滞がメタ安定な状態(水でいうと、凍ってもおかしくない過冷却の状態)が壊れることによる自由流の相から渋滞相への相転移だという点をモデルで詳しく解説していたのですが、この本では、本質だけを説明してモデルの詳細な部分は省略。そして、他の渋滞のメカニズムである「ボトルネック渋滞」、「ダンゴ渋滞」を解説しています。
また、渋滞の解消方法として、車間距離をあける、ブレーキを踏む回数をへらす、や、それを教育で広めること。また、雑学的に、「渋滞のし始めは左車線があいている」「高速道が渋滞していたら一般道も80%以上渋滞している」など、読者の興味をひく内容をうまく散りばめています。最後は、笑い、生物、経済、社会、病気、災害、インターネットを渋滞の観点から眺めるとか、盛りだくさん。防衛大学の学生が複数で歩くときは隊列を組む、とか、小学校の運動会の場所取りで一番込むが開場直前だが、その次は30分前だとか。
個人的には、こうした雑学の部分が面白かったのですが、それ以外では、カーナビでの誘導が「ハンチング現象」と呼ばれる不規則でカオス的な振動を引き起こすという点でした。論文を書いているみたいなので、ちょっと調べてみたいと思っています。
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