2009年8月24日月曜日

新しい物性物理



今年から固体物理学の講義を担当することになったので、参考資料にと読んでみました。著者は伊達宗行氏。物性物理、特に磁性研究の権威です。固体物理、物性物理の勉強は、大学4年のときに講義を受けて以来なので、もう20年近く昔ということになります。当時もあまり興味がない分野ということもあり、そんなに勉強した覚えはないのですが。

内容は、「物性物理」という名称が日本独自のもので、固体でもなく、凝縮体でもなく、物の性質を広く研究対象とすることが分かる素晴らしい名前なのだという点から始まり、原子、結晶構造、エネルギー準位、バンド構造、超伝導とスタンダードに話が展開していきます。後半では、スピントロニクス、ナノテク、カーボン科学、そしてT,P,Hが無茶苦茶小さいとかデカイ、極限科学の世界の紹介、と盛りだくさん。後半、すこし説明が端折ってあって、読むのがつらい部分もあるのですが、物性物理の最前線がどういうものかの感じをつかむのにはいい本です。

誘電率をコントロールして光にバンド構造を持たせるとか、強磁場下でバンド構造がフラクタルになるとか、半導体を素材に人工の原子を作るとか。物性物理って楽しいですね。しかし、私が固体物理の講義をやっても大丈夫なのか、まだまだ不安なので、もっと勉強の必要がありそうです。

0 件のコメント: